【天の雷・地の咆哮】
「うおおおぉ!」
ガシャン。
ガシャン。
机、椅子、椀。
男の手に触れるもの全てが、無秩序に床に投げ出されていく。
静かな部屋の中は、一転、嵐の様相を呈した。
部屋中のものを手当たり次第に投げつけても、
男の深い悲しみが癒えることはない。
・・くそおっ!ロカのやつめ!
ヴェローナを裏切って、どこへ姿をくらましたのだ!
憎しみに顔をゆがめ、アニウスは寝台の上に突っ伏した。
『ヴェローナを正妃にする』
その言葉を信じて、ロカの補佐をしてきたつもりの彼にとって、
ロカの失踪は二度目の裏切りだった。