【天の雷・地の咆哮】
気づけば、時刻の経過とともに辺りが薄闇に包まれて、ニュクスは背筋に冷たいものを感じた。
ひょっとしてこの男も、悪人なのではないだろうか。
このまま自分たちを、どこかへ連れ去るつもりなのかもしれない。
さっきの盗賊たちのように。
「ロカ」
「は?」
唐突に、自分の憂いが一度に吹き飛んでしまうほどの明るい声が、ニュクスの耳に響いた。
「俺の名前だよ。ロカっていう。
で?」
・・で?
数拍頭をめぐらせてから、ニュクスはようやく理解した。
「ニュクスよ」
「よろしく、ニュクス」
ロカというその奇妙な少年は嬉しそうに、にっかと笑った。
浅黒い肌とは対照的な白い歯がまぶしすぎて、ニュクスの心臓がとくりと跳ねた。