【天の雷・地の咆哮】
何を考えているのだろう。
ニュクスは、自嘲した。
政略結婚、つまりは、一族の繁栄の期待を背負わされて城を訪れたというのに、
愛を求める自分自身がおかしい。
・・愛ですって?
それではまるで、自分がロカに愛されたがっているみたいではないか。
国をになう重責の意味も何も、理解していない、この軽薄そうな男に。
「なんだ、女としてみてほしかったのか?」
「そんなわけがないでしょう!」
即座に否定しながらも、ニュクスは心に引っ掛かりを覚えた。
けれど、それが何かを追求する時間を与えられず、ロカの言葉が覆いかぶさる。
「だよな」
・・だよな!?
「お前さ、俺の妃になるつもりで来たんだよな」
「不本意ですけど」