【天の雷・地の咆哮】
「う、うわっ!」
突然振ってきた何かに、さすがのロカも対応できず肝が冷えた。
なんとかそれを肩に引っ掛け、落下を防いだものの。
・・なんなんだ、この“女”は。
支えなおしてそれが女であることが、わかった。
井戸につるしてあった縄梯子をほとんど登りきったところで、
突然、月明かりが射したと思ったら、いきなり女が頭上に落ちてくる。
明かりが見えた瞬間に、身を構えていなければ、
上っていたのがロカで、落ちてきたのが小柄な女でなければ、
危うく首の骨を折り、二人して井戸の底でくたばっていたかもしれない。
・・こいつ、まさかこの井戸の秘密をかぎつけてきたわけじゃねぇよなぁ。
王族しか知らない、花園の秘密。
ロカは、女を抱えあげて井戸を上りきると、そのまま人の気配がしない事を確認し、
気絶した女の体を地面に横たえた。