【天の雷・地の咆哮】
そして、この二人の男女が出会った次の日、
ロカから遣わされた正式な使者が、もう一つの運命の鍵を握る女の屋敷を訪問した。
使者の話によると、ロカがニュクスを切望しており、
王に頼み込んで彼女を迎える許可をもらったので、今すぐ一緒に城へあがってほしいとのことだった。
唐突といえばその通りだが、すでに万端に準備が整っていたため、
というより、この話が流れるのではないかとニュクスの一族が不安がっていたため、
王子の気が変わらないうちに、とニュクスはその日のうちに使者とともに城へあがることになった。
「ほんと、勝手な男よね」
馬車の中でニュクスは腕組みをしたまま、供としてついて来たニナに不満を漏らした。
「そうですわねぇ」
ニナは、肯定を意味して苦笑いした。
文句を言いながらも、ニュクスの顔が昨日までと違い、ひときわ輝いていることに
長年傍で仕えているニナは気づいていた。