【天の雷・地の咆哮】
「王子妃様!
し、失礼をいたしました!」
ヴェローナは、顔色を変えてその場に跪いた。
「まったく!
今すぐ来いと呼びつけておいて、何の支度も整っていないとは」
ニナは、とんだ不手際だと立て続けにヴェローナに言葉を浴びせる。
ヴェローナは、口をつぐんだまま、どうすればいいのかわからないといった風に、きょろきょろと辺りを見渡した。
「あの、あなた。ひょっとして、私の侍女ではないのかしら」
見た目は明らかに侍女の格好をしているが、どうも様子がおかしい。
否、という答えを予想していたのに、ヴェローナの返事は、是でも否でもなかった。
「あの、わかりません」
「わからない?」
「はい。
実は、ここで待っているようにといわれまして、朝からここにいるのです」
ヴェローナの答えに、ニュクスとニナは顔を見合わせた。