【天の雷・地の咆哮】
「誰の命令なの?」
思い当たりそうな人物など、一人しかいないが。
「あの、ユピテロカ様です」
やっぱり、とニュクスは脱力した。
何を考えているのかさっぱりわからないのは、今に始まったことでもない。
ロカの出迎えなど期待した自分がばかだったのだと気持ちを切り替えて、
ニュクスは傍の椅子に腰をおろした。
「仕方ないわ。どうせずっとここに住むことになるのだし、焦らないでも時間はあるわ。
ニナ。私の荷物を運んで、部屋を整えてちょうだい」
ニナはヴェローナをいぶかしく思いながらも、
ニュクスの命令に従って、部屋を片付け始めた。
次々に運ばれた荷物は大量で、ヴェローナが感嘆の声を上げる。
「何かおかしい?」
大きな瞳をますます大きく開いているヴェローナの姿がほほえましくて、
ニュクスは何の気なしに声をかけた。