【天の雷・地の咆哮】

あわただしい雰囲気に包まれた時間が過ぎていく。

やがて空が夕闇にとける頃には、一通りの片づけが終わり、侍女たちは退室した。


大勢の人間が部屋に出入りしたが、

ニュクスにあてがわれた部屋に、ヴェローナがいることの明確な答えを持っているものは誰一人として訪れない。



・・まったく、いつまで待たせるつもりなんだか。



ニュクスが軽いため息をつくと、部屋の隅っこで、申し訳ありません、と小さな声がした。

自分のいらいらに応える様に頭を下げるヴェローナに、ニュクスは微笑んだ。


「あなたのせいではないもの。

ここにいろと言われたんでしょう?」


「はい」


居場所のないヴェローナは、入り口の扉近くに立ったままだ。


「ニナが事情を聞きに行ったから、すぐにどうなるかわかるわ。

それより、どうせだから、何かお話をしましょうよ。


私、ユピテロカ王子のことをあまりよく知らないのよ。

あなたから見て、王子はどんな人かしら?」


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