【天の雷・地の咆哮】
ニナはそれからも、城の内外で語られているらしい噂話を尽きることなく話し続けた。
それによると、
ヴェローナは、貴族出身のウェスタの巫女、つまり神官だった。
同じく神官だった姉が妊娠し還俗したため、その代役として急遽神官となった。
やがて妊娠が発覚。
誰も父親に心当たりがなかったが、突然ロカが彼女を城に住まわせると宣言した。
そのことからも、父親はロカであろうと推測される。
ということらしかった。
ひどい仕打ちだとニュクスのことを気遣うニナとは対照的に、
ニュクスはまったく別の事を考えていた。
噂話が全て本当の話であったとしても、どうも辻褄が合わない。
それは、ロカの行動にあった。