【天の雷・地の咆哮】



・・良かった。本当に嬉しそうだわ。



何を考えているかわからないへらへらとした笑みではなく、

無邪気な子どものような笑顔を見せるロカに、ニュクスの胸がとくりと小さく跳ねる。


「うん、こりゃうまい!」


一口で食べられる大きさのそれを、試しに一つ口に入れると、

ロカは間を空けず、次々と菓子を口へ放り込んだ。


調子よく何個かを食べた後、突然、ロカがうっとうめいた。


「ロカ?」


喉に詰まらせたのだろう。ロカは、ごほごほとむせ、拳骨で胸を叩き始める。


「ロカ!大丈夫ですか?」


ニュクスは真っ赤になった顔のロカとは正反対に、

真っ青になってロカの背をさすりながら、彼の口元に茶器を運んだ。


「早く、飲んで!」


ロカの喉仏が、小刻みに波うって水分を受け入れていく。


「はぁ~!死ぬかと思った!」


< 89 / 214 >

この作品をシェア

pagetop