【天の雷・地の咆哮】
「当たり前です。あんなにたくさん一度にほおばるなんて!
こちらの方が驚いて心の臓が止まるかと思いました」
「あはははは!それは悪かったな!」
どこかの街角にいそうなガキ大将のように笑うロカの姿が、
別の意味でニュクスの心臓を熱くさせる。
つかの間、ニュクスはただロカとの距離を縮めたくてここへやってきたような錯覚をおこした。
が、
「で、何かあったのか?用事でも?」
ロカの言葉に、すぐに自分の目的を思い出し、気持ちが冬の大地のように翳る。
一瞬目を伏せてためらったのち、ニュクスは胸に手を当てて祈るような仕草をした。
「実は、ヴェローナのことで、お話が」
「ヴェローナのこと?」
昨夜のことなどまるでなかったことのように、ロカは首をかしげた。