One Love
「……そっか。過去か……」
『うん。過去だよ』
そう。
過去なんだよ。
だから、忘れよう。
秀治君のこと。
『みんな先に進んでるし!…行こ!!』
あたしは元気よく涼に言った。
「そーだね」
涼はほほ笑んで、そう言った。
あたしは涼より先にみんなの元へ行こうと、無駄なライバル心を抱き、走って行った。
「……頑張って」
あたしの背中に向かって、涼がそう呟いたことに気付かなかった。
いや、あたしが気付かないよう、涼は呟いたのかも知れない。