One Love


「……爽。いい加減あきらめれば?」



冷静にそう言った涼。

そしてその後に吹いた風が、涼の金髪を揺らす。



『……じゃぁ貸して』


あたしはみちるに右手を出した。


「……しょーがないなぁ。まぁいいけどっ」



そして黄色のファンシーな財布をあけた。



こっそりと中をのぞくと…
(いや、こっそりじゃないかも)



『みちる!!…福沢諭吉さんが5人も!?』


「あ……見えちゃった?」


『見えちゃったじゃねぇよ!…5人もいるなら百円くらいよこせー!』


「ヤダヨー。僕、これでも金欠…」


『高校生がそんなこと言うなー!』



今、改めてみちるが坊ちゃんだということを思い出した。


あ、みちるって何ちゃら財閥の御曹司ってやつね?

…たぶん。




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