桜咲く季節に。
────吉田くんに突然の告白をされてから三年の月日がたった。
そして今日は、吉田くんが帰ってくる日だ。
何着ていこうかなぁ。
「日和!!ちょっと来なさい!!」
部屋で呑気に洋服選びをしていると、お母さんの叫び声が聞こえた。
リビングにおりると、お母さんがテレビを見ていた。
「なに?あんなに叫んで」
「あの子の名前、なんて言うの…」
「あの子?あぁ、吉田くん?吉田嶺くんだよ」
「これ…」
お母さんが震える手でテレビを指差す。
そこには、飛行機の墜落事故で死亡した人の名前が並んでいた。
視線を少しずらすと…
───ヨシダ レイ。
「吉田くん…?」
「乗ってくるのってこの便よね…。」
「や、やだなお母さん。きっとおんなじ名前の人だよ。そんなことより、もう時間ないから行くね。」
あたしは家を飛び出した。