桜咲く季節に。



────吉田くんに突然の告白をされてから三年の月日がたった。


そして今日は、吉田くんが帰ってくる日だ。




何着ていこうかなぁ。



「日和!!ちょっと来なさい!!」


部屋で呑気に洋服選びをしていると、お母さんの叫び声が聞こえた。



リビングにおりると、お母さんがテレビを見ていた。


「なに?あんなに叫んで」



「あの子の名前、なんて言うの…」


「あの子?あぁ、吉田くん?吉田嶺くんだよ」


「これ…」

お母さんが震える手でテレビを指差す。


そこには、飛行機の墜落事故で死亡した人の名前が並んでいた。



視線を少しずらすと…




───ヨシダ レイ。





「吉田くん…?」


「乗ってくるのってこの便よね…。」


「や、やだなお母さん。きっとおんなじ名前の人だよ。そんなことより、もう時間ないから行くね。」



あたしは家を飛び出した。





< 14 / 16 >

この作品をシェア

pagetop