霧の中の「BOY MEET GIRL」【中編】
...“どっか”?
どこだろう。
この家には棚が多すぎる。
...何故か。

夜中だから、母さんを起こすのは悪い。
自力で探すしかないか...。

まず、自分の部屋からいくか。

まずは王道の本棚。
...ん?なんだ、コレ。
“モテる為の100のテク”?
あれだな。
若気の至りに耳を塞ぎたくなるお年頃?

―――ガタッ

「うわっ...」
バサバサっと音がして、本棚が倒れた。
あーあ、やっちまった...。
母さん起きるかも...。

「ん?向平何してんの?」
あ。
「母さん...」
「探し物?」
「あ、まあ、そんなとこ」

母・澄子は最初「ふ~ん」という顔をして、それからニヤッと表情を変えた。

「なあに、もしかして彼女とのメモリアル~?」
「違うから。それより母さん、俺の中学ん時の卒業アルバム知らないか?」
「卒業アルバム?」
起きてきたからにはもう自棄だ。
この人なら多分家の全てを把握しているだろう。
キング・オブ・ポップならぬクイーン・オブ・マイハウスだ。
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