霧の中の「BOY MEET GIRL」【中編】
どんだけプリン好きなんだよ、俺。

『はい♪』

屈託のない笑顔に負け、プリンを受け取った。
『どうも』と短くぶっきらぼうにお礼を言いながら。

『あ、もしかして手作りの...だった?』
『ん?』
『えと、プリン...。コンビニので安く済ませちゃったけど』
『ああ、いや、普通~のコンビニのだから!どっちかというとやわらかいのより固めが好きだから、これドンピシャ!その、あの、だから~...』

慰める(?)つもりだったのに、上手く言葉が出てこない。
これが二ヶ月間まともに会話してなかった成果だな(何が)。

なんだか、頬がアツくなってくる。

『...ふふっ、ありがとう』

そんな俺を呆れないで見てくれた。

...この瞬間、田中柚愛という女を、好きになったのだ。

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