霧の中の「BOY MEET GIRL」【中編】
「こんにちは」

え?

その声の方に振り向くと、女が車から顔を出した状態でいた。

「初めて会うよね?私、田中柚愛っていいます。これからよろしくね」

田中...柚愛?
そこかで聞いたことあるような、ないような―...

「こ、これからって...また来るのか!?」
「うん。私走るの始めたばっかりだけど、ここ気にいっちゃった。空気も気持ちいいし」
「ちょ、ここは俺の...」

ここは俺の場所なんだ!

そう言いたかったけど...

「じゃあ、私はこれで」
「あ、ああ...」

なんだか、言えなかった。
その原因も、何となくわかる。

「あ、あの。ちょっと待ってくんねぇか?」
「はい?」

この曲、何ていうんだ?

「この、」

曲が気になるんだ...。

「曲がっ...」
「曲?」
「なんか...気になって」
「題名は"BOY MEET GIRL”。アメリカのアーティストさんの曲よ」
「BOY MEET GIRL、か...」

洋楽なのか。
友達に洋楽マニアがるから聞けば知ってるかな。

「ありがとう。じゃあ」
「はい。それでは」



そして、俺たちは別れた。

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