世界終了のお知らせ
「‥こんばんは!」

「こんばんは!‥じゃないでしょこんな夜中に!制服のままで!こんな所まで!
急に牛乳飲みたくなって買いに来たら、あーもー、なんだこれ!」


ぐるりと大回りしていつの間にかあこの家の近所までたどり着いたようで、そのあこに早口でまくしたてられる。

「ちょっと散歩‥かな?」

「ばか。‥どした。まる。何があったの。」


話してみ、と私の手を掴んだあこの手が暖かい。

今の今までの浮かれていた気分から突然目が覚める。


荷物も、親も、あの家に置いて来てしまったよ。

大切なものは何もかも手放してここまで来たんだ。

だけどここにはあこがいる。目の前で、馬鹿な私の名前を呼んで手をとってくれている。


視界がぐにゃりと歪んだ。私は声も出さずに泣いていた。

夜風が首筋にまた少し寒くなってきた。けれども手だけはずっと暖かかった。
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