VIRUS ‐ COCKTAIL
―――翌日。

「うぉーい!エンドーさん、低血圧直さないと遅刻するよ。二日酔いなのも分かるけど、ほらほら」

朝っぱらから騒がしい奴だ。
しかもその一時間前の5時、日の出とともに(この家かかは定かではないが)鶏の鳴き声までしたからな…。

「勝手に人ん家に入んなよ!」
「え~っ折角朝ご飯作ったげたんだぜィ~。アカアパ住人の今日の朝飯は高梨が作る番なんだヨ」

どうやらアカシア・アパートは毎日『resident Committee』(住人委員会。所謂地域自治体のようなもの。アカシア・アパート住人の洗濯やご飯など家事全般する係:日番がある。他にも事なる係がある。レジコンと呼ばれる。)が面倒を見てくれるらしい。
確かに家事は出来ないが…。

「旨い!この味噌汁すげ」
「特製の秘伝のダシが効いてるんだヨ~。あ、まだエンドーさん仕事決まって無いデショ?私の研究所に来る?」
「良いのか?見学というか…」
「見学じゃないヨ。実験見物」

そう言った瞬間、高梨絵茉の目が鋭く光った。
そして静かにこう言った。

「エマは遠藤さんを実験台にするよ。『実験見物』に来なかったら」

じりじりと詰め寄って行った。
その瞳は生気は有るようだが真っ黒で引き込まれそうにもなった。こんな悍(おぞま)しい姿は見たことが無かった。このまま行かないと言ったら、殺されそうだった。
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