Imaginary,5476
キィイイィィィィ─── !!
一瞬、何が起きたか分から
なかった 。
仁花の目の前で、電車が 。
滑るみたいに、仁花の隣を
鉄の塊が駆け抜けた 。
「 ! 」
脱線 。
こもった人間の叫び声 。
ガタガタとドアが揺れる 。
怖い 。
耳を塞ぎたくなるけれど、
手は繋がれたままで 。
コツコツと足音が近付いて
くる 。
仁花の目の前で起こった
奇劇に、拍手が散った 。
騒々しいこの状況に、不釣
り合いな拍手 。
「 流石 」