Imaginary,5476
「 ──…無茶な真似をする
ものだね、君も 」
人形もどき(仮)は、濡れた
髪を軽く振って、振り返っ
た 。
でも、本当に人形みたいで
。
目が合って、笑い掛けられ
る 。
「 大丈夫 ?フェンが迷惑か
けたみたいだね 」
「 君が出てこないのが悪い
」
「 言い掛かりはよしてよ…
。僕が来なかったらどうす
るつもりだった訳 ? 」
待ってよ、どういう意味 ?
でも、そんな心は表せなか
った 。寒いのと、怖かった
のでおかしくなっている 。
「 それはまた今度…──警
察やら何やらが来る前に帰
るよ 」
「 立てる ? 」
「 ん…──うん 」
濡れた睫毛の下で、綺麗に
笑う少年を、青年──フェ
ンネル──は、
「 アリス 」
と呼んだ 。