Imaginary,5476

 「 何言ってるの… 」

 「 … 」

 「 …まーま、じゃ説明して
 あげな 。シンデレラが何故
 助かったのか 」

 フェンネルの言葉に鈴守が
 口を閉じる 。
 紅茶が ふわり と揺れた 。

 「 僕は人の心を操作するこ
 とが出来る 」

 「 え… ?じゃあ 」

 電車の脱線は───… 。

 「 運転手の心を操作して君
 を助けたんだよ 」


 いきなりそんなことを言わ
 れても、理解は出来ないの
 が筋だ 。
 でも、何故だか「 あ、そう
 なんだ 」なんて、思うこと
 が出来たのだった 。

 ──変なの 。



 「 君は独りだ 。もう帰る家
 なんて無い 」

 「 家、帰ります ! 」

 フェンネルが笑う 。

 「 君には元より親なんて居
 ないんだよ、シンデレラ 」

 「 は ?何言って── 」

 仁花には、ちゃんと家があ
 る 。それに、無口な母親と
 、よく喋る父親が居る 。

 なのに、フェンネルはさら
 りと嫌なことを言う 。

 「 今までの君の生活は、さ
 っき僕が見せた幻影だ 」

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