Imaginary,5476
彼が生きる理由は 、
ただ一つ 。
フェンネルが薄く笑った 。
「 アリス ! 」
「 ───Yes 」
「 Puis-je ouvrir la fene
tre !? 」
「 Okey , It would be a g
ood choice ! 」
流れるような外国語が聞こ
えて 、フェンネルが強く仁
花を抱き締めた時 、鈴守が
指を鳴らす 。
瞬間 。
全ての窓ガラスが 、割れ
去った 。
その欠片は空中で止まり 、
フェンネルが指をクイ 、と
揺らしたと思うと 、それら
は少女の白に向かって光の
様に飛んで行く 。
真っ赤で真っ赤な 、血が 。
弾ける様に 、散って行く 。
パチン !
もう一つ 、鈴守が指を鳴ら
した 。
少女は悲鳴ごと消えて 、代
わりのように床にゴトリと
落ちたのは 、小さな懐中時
計だった 。