Imaginary,5476

 普通に学校に行って、普通
 に帰っていたのだ。

 至って 普 通 に 。


 家より学校に近いその道。
 通学路であったし、人通り
 も多い。

 本当に普通に安全な帰り道
 だった。

 仁花は今日、新しい靴を履
 いていた。彼女の学校はロ
 ーファーが指定であり、今
 日は正装でとのことだった
 ため黒いストッキングを着
 用していた。

 つまり何が言いたいかと言
 うと、靴は足に馴染んでな
 い上、残念なくらいにぶか
 ぶかだったのだ。



 だから、自分なりに努力を
 して、何とか靴から足を溢
 さないようにしていた。


 なのに、そんな努力も虚し
 く、とある信号で、

   スポ。

 と抜けてしまった。


 「 、あ…っ 」

 それは勿論、拾いに行こう
 とした。

 でも、その前に拾ってくれ
 た人が居た。


< 3 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop