Imaginary,5476
帰り道のこと 。
いや 、帰り道といっても何
処に帰る道なのかは本当の
ところよく理解出来ていな
い 。
「 あーぁ 、疲れちゃったな
。ねぇ ?時掛 」
「 は ?…──あぁ 、そうだ
な 。…そういや茉野には驚
いた 」
「 あれは…私自身が吃驚と
いうか… 」
鈴守が軽やかに笑って 、振
り向く 。月が似合う少年 。
「 帰っておいで 、時掛 」
読めない笑顔が隠している
ものは 、仁花にも判ること
なのだろうか 。
「 …そうだ 、な 」
時掛の横顔は 、
笑って いた 。
「 招待状も手に入れたこと
だし 。教えてね 、二人共 」
そっと封筒に手を触れて仁
花が言うと 、二人は頷いて
くれた 。
──私は 、ラストシンデレ
ラ 。本能がそう言ってる 。
仁花は 、時掛と鈴守と 、あ
の家に帰ることに決めた 。
味方だということくらい 、
仁花にも判る 。
穏やかな月夜が 、
流れていた 。
この先どんな狂った歪んだ
物語が紡がれるかも知らず
に 。
「 帰ろう 」