Imaginary,5476

 「 君は自らの靴を取り戻さ
 なければならない 」

 「 …なら返して下さい 」

 「 その為に何が出来る ? 」

 何やら話は仁花のツッコミ
 を一切無視して進められて
 いるらしかった 。


 「 何が…って、 」

 「 一つの靴の為に全てを捧
 げる勇気を持つ者、それこ
 そが“ラストシンデレラ”
 だ 」


 ラスト 何 ?

 あからさまに「 はい ? 」と
 いう顔をした仁花に、青年
 は フ と微笑む 。


 「 という訳で、今から君を
 拉致します 」

 「 !?ちょっと !離して ! 」

 ヒョイ、と抱えられて、仁
 花は文字通り現在進行形で
 連れ去られる 。

 「 誰か 助けて ! 」

 「 誰にも見えないし聞こえ
 ない 。残念 」

 軽やかなその声に仁花の叫
 びが遮られる。



 誰にも ?

 私には見えて聞こえている
 のに、
 私の声や姿が無いって ?

 あと…何て言っただろう、




 ラスト…



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