Imaginary,5476

 「 サムライ ? 」

 「 シンデレラ 。 」



 いつの間に気を失っていた
 のか、仁花はベッドに横た
 わっていた 。


 「 あぁ…そうそう 。じゃな
 くて靴 ! 」

 「 自分の安否よりまず靴の
 有無 ? 」

 「 靴返して 。あと私も帰し
 て 。 」

 「 上手な掛詞 。合コンとか
 で使って良いかな ? 」


 相手出来そうにない 。少な
 からず仁花はそう感じた 。

 「 何でもするから靴返して
 下さい 」

 何で靴に此処まで執着する
 のか、仁花にも良く判らな
 かった。
 心の片隅では「 靴なんて放
 って逃げろ 」と言っている
 のに、大半では「 靴が無け
 れば私じゃない 」だなんて
 思っている 。



 「 …何でも ? 」

 嫌な予感 。

 「 …何でも 。 」

 「 じゃあ出掛けよう 」

 カチャ 。

 青年は細い首から今まで見
 えもしなかった首輪を外し
 た 。

 ──この人そういう趣味の
 人 ?…なんて 。


 誘拐された身であるのに、
 自分が危険だなんて不思議
 と思わなかった 。

< 6 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop