Imaginary,5476
また仁花達は部屋に戻って
きた 。
シャンデリア、分厚いカー
テン、人形 。
細々とした装飾で溢れてい
るその部屋は、仁花にとっ
てそこまで居心地の悪い場
所ではなかった 。
「 疲れた… 」
精神的に、だ 。
「 もしもし ?茉野さんのお
宅ですか ? 」
「 ちょっと何── ! 」
電話してんだよ 。
「 娘は預かりました 。身代
金を払わなければ、殺す 」
殺 す !?
青年の手がボタンを押して
、親の戸惑いがすぐ其処か
ら部屋中に響きわたる 。
声を聞かせてほしいがこの
後来るだろうと思った 。だ
って、テレビではいつもそ
うだ 。
なのに、父親はさらりと衝
撃ワードを発した 。
「 ──…払えない 」
は ?
「 は、え!?ちょ、お父さん
! 」
そんな、金額も聞かないで
!?
「 仁花 ?其処に居るの ! 」
「 ちょっとお母さん !この
人多分本気だよ!?殺されち
ゃうじゃない ! 」
謝る声 。
いや、謝る謝らないではな
く !
電話は、
切れた 。