聖夜の約束
 
 そんな中で、あたしはひとり学生鞄を両腕で、ぎゅっ、と抱えるようにして、足早に帰り道を急ぐ。

 それでも、デパートの入り口やショーウィンドウに飾られたクリスマスツリー、「Merry Xmas」の文字がどうしても視界に入る。


 ――クリスマスなんて、嫌いだ。


 別に、クリスマスという日に恨みがある訳じゃない。

 明日、25日はあたしの誕生日だし。

 でも。

 2年前の今日。

 あたしの父は事故で死んでしまった。
 
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