聖夜の約束
 
『……じゃあ、お願いします』


『ちゃんと捕まってろよ』


 言われるまま肩に手を置いたら、それじゃ危ない、と手を引かれ、先生に抱きつく格好になってしまった。

 何だか、恥ずかしいんですけど。

 けたたましいエンジン音を上げて、バイクは走り出す。

 まだ秋口とはいえ、風を切って走っていくから体感温度は結構寒い。

 歩くだけだったら十分だったパーカーも、あまり役に立たない。

 だからあたしは、そっと、抱きつく腕に力を込めた。

 先生の背中が、思ったよりも暖かかったから。
 
< 22 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop