聖夜の約束
バイクを押して園内に入っていく先生の後を着いて歩いていくと、『展望台』と書かれた看板が見えてきた。
『ここ、上って待ってて』
先生はそこにバイクを止めると、展望台の階段を上がらずに何処かへ走っていってしまった。
取り敢えず言われた通りに階段を上がっていくと、フェンスの向こうに綺麗な夜景が広がっていた。
『こんな所、あるんだ……』
フェンスに手を突いて思わず呟くと、白い吐息と共に風に流されていった。
手袋を外して、顔をくすぐる髪に触れると、びっくりするくらい冷たくなってる。
こんな場所に、先生は一体なんの用事があるんだろう。
この夜景をあたしに見せたかったとか――て、そんなの有り得ないって!