聖夜の約束
 
 でも、本当だとしたら、見かけに寄らず、ロマンチシストな人なのかも。

 バイト頑張ってるあたしにご褒美?

 どっちにしても、友達には内緒だな。

 何を言われるか分からないし。

 髪を揺らす夜風に背を丸めて、眼下に広がる景色を見ていたら、階段を駆け上がる足音が聞こえてきた。

 振り返るのと同時に、長身のあの人が視界に入る。


『おまたせ。はい、どうぞ』


 先生があたしに手渡してきたのは、温かい缶コーヒー。


『ありがとうございます』


 缶のパッケージを見たら、偶然にもあたしの好きなメーカーのもので。

 そこでまた、あたしの胸はトクンと血流を増した。
 
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