存在しない366日
前から来たのは二人の老夫婦。
鎌を持ち、
不気味に笑っている。
でも、
俺たちは決して逃げようとはしない。
年寄りだし
足は早くないと思ったからだ。
危険を感じて
俺たちが逃げれば
あの老夫婦に追い付けるわけがない。
そうぼんやり頭の中で思っていると
スパ-ンッという
派手な音と共に何かが遠くへ飛んでいった。
そして
隣で誰かが崩れ落ちた。
顎をかくかくさせながら
隣を見ると首から上のない死体が…
それは
‥―紫音だった。