I ─アイ─


午後7時33分。


お母さんは45分着のバスに乗って帰って来る。



家からバス停までは、徒歩5分と言った所か。



雨が段々強くなって行く。



…よし!
バス停まで迎えに行こう。



大きな赤い傘を持って、真新しい家を出た。



パステルカラーの小さな傘を差して、赤い長靴を履いて、


てくてくと、バス停に向かう。





『あっ!高橋奈々だ!!』

『やーい、無口奈々ー!!!

こんな雨ん中、どこ行くってんだよ、雨女ー!!!』

『悔しいなら、しゃべってみろよー!?』

わはははは…




クラスの男の子達の悪口に、耳を塞ぎたくなる。


…別に、関係ないじゃない…

悔しくなんかないし。
勝手に言って楽しんでなよ。



「…ガキダネ。」

ぼそっと呟いた。


あたしはそんな人。

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