Ｉ ─ｱｲ─

『奈々ね…

いつか、こんな事になるんじゃないかって…気づいてたの。』



『………』



『お母さんは、…ずっと病気だったの。

だから、よくお母さんじゃなくなる時があった。

奈々は、知ってたのに、何もしなかったの。

お母さん、苦しかったのに…』



『………』



お父さんが一瞬、険しい顔をしたのを覚えてる。



その時、何故かお父さんがすごく恐ろしく思えた。



『…お母さんが、よく言ってたんだ。


奈々は、ひどい人になっちゃだめよ。って……。』




恐る恐る訪ねる。



『…お父さん、奈々ひどい人？』



……



『お母さんが言ってたひどい人に、奈々、なっちゃった…？』



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