I ─アイ─



そこからは、よく覚えていない。



きっとあたしは放心状態。




『さぁ、暗くならない内に、お父さんの家に帰ろうか。』



この声を聞くまで。


『………』




お父さんがそう切り出しだ。


でもやっぱり、その手は繋いでくれなかった。



お父さんもどこかできっと、あたしに心を許さなかった。



あたしも許す事は無かったのかもしれない。



一度も、許すスキを見せてはくれなかった。見せなかった。



"心の扉を開く鍵"なんてステキな物は、もう捨てちゃった。




もう、
開けようなんて思わないよ。


もう、
信じようなんて思わないよ。


もう、
好かれようなんて思わない。



もう、
利用なんてされない。



あたしは

あたしの為に生きて行く。



あたしだけの為に……




だから、誰もあたしに近づかないで


心を開いたりしないで


希望なんて持たせないで




あたしはもう、


─…傷つきたくない。─





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