I ─アイ─
変わらない願いを
お母さんは生きていた。
そう聞いていたのに、あたしはお父さんに引き取られた。
どうしてよ?
早くお母さんに会わせてよ。
しかし、次の日からお父さんは警察署に行っていて、
あたしは一人、懐かしいお父さんの家を歩き回っていた。
白とベージュ色の、落ち着いていてシックな建物。
ゴミひとつさえない、完璧に片付けられたその家は、まるで生活感が無い。
冷たい空気を漂わせる廊下
全てが冷たい感覚。
『奈々は、知ってたのに…
何も知らなかった。』
突然、頭をよぎった、小さく消えそうな声。
「えっ?」
どこからか聞こえてくる…声
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