I ─アイ─







声がしたのは大きな鏡。








……………






喋っていたのは、自分。



…………………



自分が、にこっと笑った。






『奈々は、お母さんが好き?』




唐突な質問に、少し驚く。


「……すき…だよ…」





『本当に?』



「……本当に…」





『お母さんはひどい人だね。』


…………?


「…お母さんは、お母さんの言ってた人…?」





『お母さんの言ってた人は、お母さん。』



「…………?」





『知らないの?』





自分が自分を責め立てる。





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