I ─アイ─

キボウ




ピィー、チチチ…




「……?」



静かな空間

見慣れた景色

いつもの感覚



カーテンから差し込む光が、朝を示してる。




血の匂いもしない。

それだけでホッとする。




だけどもちろん、こーなるさ。



「…あー、夢かよ…」


こんな目覚めはいい加減腹が立つ。


たまに見るんだよねー、この夢。




ぼーっとしながらカーテンを開けて窓の外を見た。



「…タチの悪い夢だ…」


窓に反射して映った、真逆の時計の針は、直角だ。


ふてくされた声でつぶやく。


「なんだよ、遅刻じゃん。

もー、目覚まし時計ならちゃんと役割果たせ〜」


バコッ


奈々は目覚まし時計にチョップをする。



チリリリリリィ〜ン!!!



「…ほんとうるさいなぁ…静かにしてよね〜」



そう、めんどくさそうに言うと部屋を出た。



パタン




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