I ─アイ─



目をつぶると、お母さんの背中が見える。


少しずつ光にのみ込まれ、
少しずつ光になって行く。




……………




そう、お母さんはもういない。

冷静になって目を開ける。




「…お母さん…」




孤独に迷い込んだ。

迷宮に投げ込まれた。



あたしには、あなたしかいなかったのに。

どうして、あたしを置いて逃げたの?

なぜ裏切った?














…あたしはアンタを許さない。









薄情者?



そうじゃない





非道者?



そんなんじゃない





だって、
さよならさえ言ってない



なら、
まだ別れてはいないよ…




どこからか自分を守る声がする。




お母さんは一体どんな気持ちで

今までを生きていたの…?




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