明日は
 いつもより早く、家に子吉沢は戻った。理由は廃墟の病院の位置を知るためだった。

 しかし、地図を見ても廃墟の病院は特定出来なかった。

 スーパーの買い物袋を抱えて、帰ってきた母親は疲れも見せずに

「ただいま」

 と、言った。

「五年前に……」

 子吉沢は気になったので、すぐに母親に尋ねたのだ。

「なあに、帰ってきてそうそう、五年前とかって?」

 母親は買い物袋から、食材を冷蔵庫にしまいなからの応対であった。

「病院知らない?」

「へぇ? なんのことだかさっぱりわからないよ」

 子吉沢の唐突な質問に即答出きるはずもなく、夕食のしたくで手がいっぱいで、半分聞いてないのだ。

「だからさ、隣町に廃墟の病院ある?」

「廃墟の病院?」
< 12 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop