明日は
SCENE 1
高いイビキが聞こえた。午後に中学校から帰宅すると、いつものことで、慣れている。
ここ数年父親がいつも家にいるのだ。定職もなく、家で酒を飲んで眠っているのである。
子吉沢英夢は一人っ子なので、母親の帰宅まで父親は無視だ。夕食まで起きることはない。たまにトイレに起きる程度で会話などない。
何もやる気が起こらない。
勉強も運動も趣味さえもである。
原因は父親だ。
小学校の頃は成績が悪くてもそれなりに、楽しんだような気がした。
中学三年生になってクラスメイトと会話がないので、友だちもいないのだ。
だから、クラスメイトからはネクラと言われているが、腹も立たない。
小学生の頃の子吉沢なら、ネクラと言われれば反論ぐらいはしたではずだ。いや、場合によっては殴っていたかもしれない。
全ては家庭内の不安で、中学生の子吉沢には、黙って時の流れを待つしかないのだ。
それでも色々なクラスメイトがいる。