明日は
 休み時間になると、女子たちが墨丘を囲んだ。

「ねえ、前の学校から、なぜ転校してきたの?」

「あっ、それは……」

 墨丘は口下手らしく、女子の質問に答えない。

「両親の都合? それとも別の理由?」

「まぁ、そんなところです……」

 墨丘は回答ではなく、曖昧な返事をしているだけだ。

「じゃあ、得意科目は?」

 墨丘が恥ずかしがっているので、質問はすぐに変えた。

「理数系と美術……」

 墨丘も恥ずかしながらも、女子の質問にやっと答えた感じだ。

「へぇ~」

 驚くほどでもないが、女子たちは感心している。もしも子吉沢が同じことを言っても笑われるのがオチである。



< 23 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop