明日は
SCENE 5
 憂鬱だ。子吉沢の気分を表現すればピッタリである。

 十二月も終わろうとしているのに、進路は決まっていない。

 真猿と克物がヒソヒソと話ている。二人で教室を出るのかと思えば、ドアの付近で止まった。

「おーい、墨丘くん」

 真猿はやわらかい言い方で呼んだ。

 墨丘の周りには女子たちがいるので、振り切って教室を出て行った。

 女子たちはヒソヒソと、話した。

 聞かなくても、墨丘のことであることは間違いない。

 授業があるので、開始のチャイムが鳴る寸前に三人は戻ってきた。

 真猿と克物はニコニコしていたが、墨丘は顔を真っ青にして入ってきた。

 どこか気分でも悪いのではと、思う子吉沢であるが、知らん振りをした。

 授業が終わるたびに、墨丘は真猿と克物に交互に呼び出されていた。
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