明日は
 家に戻ると、父親はいなかった。また、酒を飲んでいるに違いない。

 ドアが勝手に開いた。

 子吉沢は鍵を閉め忘れたので、風で開いたのかと思った。

 待てよ!

 鍵は閉め忘れたが、勝手にドアが開くはずがない。ドアノブを回さない限り開くはずがないのだ。

 子吉沢は玄関を見たが誰もいなかったので、ドアの近くまできた。そして、ドアを開けると、誰もいなかった。

 なぜ風もないのにドアが開いたのか説明はできない。

 ガタッ

 子吉沢は人のけはいを感じた。

 来訪者がいる場合は、ドアの前に立っているが、寝ている場合は気づかないのだ。たまたま、音がした方向に父親が倒れるようにうつぶせで寝ていたのである。

「またかよ」

 子吉沢は父親が酒から抜け出せないでいる姿は情けなく、恥ずかしかった。とても尊敬する価値がないのだ。
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