明日は
 墨丘は子吉沢がおにぎりを食べ終えるのを待っていた。その間はじっと下を向いて黙っていたのである。

「おいしかった?」

 墨丘は子吉沢に聞いた。

「うん……」

 子吉沢は満腹したものの浮かない表情で、宙を見ていた。

「どうしたの?」

「テレビ見た?」

 子吉沢も少しは落ち着いたのか事情を説明する気になったようだ。

「見てないよ。何で?」

「父親が事件を起こしたみたいだ」

「事件って、本当に?」

「駅で暴れたようで、今は警察に捕まっている」

「そう、それは心配ね」

「父親なんか心配じゃない! 死ねばいいんだ!」

 墨丘は黙ってうなずいた。
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