明日は
 女子たちのすすり泣く声が聞こえる。

 卒業式も終わりに近づくと、女子たちの泣く声は大きくなる。

 男子の中にも泣くやつがいて、子吉沢には理解不能だった。
 なぜ泣く?

 子吉沢の中学の三年間は孤独だった。

 中学に入学した頃から、無口で友だちもいなかったが、無理して他人と仲良くしようとは思っていなかったので、それほどつらくもなかった。

 三年生になって、美帆が怪談話に呼んでくれたところから、変わったのだ。孤独からの脱出だった。こんなに人とのふれ合いが楽しいと感じたことはなかった。

 あのときは美帆に感謝した。

 そこにあいつが転校してきたのだ。

 墨丘優斗だ。

 最初は女子たちに囲まれていて、うらやましく思った。だが、墨丘がオカマとわかると、クラスメイトたちは気持ち悪がって、離れていった。

 子吉沢は同性愛者ではないので、気持ちが悪いと思う気持ちはわかるが、人と違うからと差別はしない。そのお陰でまたクラスメイトたちから疎外感はあったが、気にしない。
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