明日は
 父親が逮捕され、精神的にダメージを追ったときに墨丘は支えてくれた。

 この事件がなければ墨丘とも距離を置いたかもしれない。そう思うと、自分の薄弱さを知った。
 悲しくない。

 仲のいい友とはいつでも会えるし、教諭たちは勉強を教えるだけの存在で、それ以上でもない。

 なぜ泣く?

 学校の校舎に愛着でもあるのか?

 明日からは全てから解放されるのだ。

 クラスメイトたちは教室に戻っていた。

 教壇にはスーツ姿の大佐古教諭がいた。じっと生徒たちを眺めている。

 最後の話をして、早く帰らせろと、子吉沢は思った。
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