明日は
「卒業、おめでとう。これからみんなは高校に行き、大学に行って就職するでしょう。そして、結婚し、子供が生まれて、成長したら、今日のこの日を思い出すでしょう。そして、懐かしむでしょう」

 子吉沢は大佐古教諭の言っていることが全然理解出来なかった。


 あまり思い出しくないのだ。ホモ疑惑に父親の逮捕と嫌なことが立て続けに起こった最悪な時期だ。

 早く今日が終わってほしいと願うのだ。だから子吉沢は耳をふさいだ。

 教室はガヤガヤとにぎやかになった。

 大佐古教諭の話が終わったのだ。

 クラスメイトたちは一人ずつ、大佐古教諭と話している。

 みんな泣いている。

 子吉沢は墨丘を見た。
 
 泣いていなかった。

 二人だけ、場違いだった。
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