拝啓、カミサマ【短編】
「その質問で考えるなら、神様はいるよ」



私は持ち帰った疑問を、自分で吟味することなくぶらりに提出した。

ライブラリだから、ぶらり。

頭が良いからライブラリ。
まるで図書館みたいな、というのが私が彼に持ちえた印象だったのだ。


本名は、長らく呼んでいない。



「肩透かしをくらったような顔をしているね」



ぶらりは、私を君と呼ぶ。
彼は、私の名前など端から覚えていないに違いない。
覚える必要がないからだ。


「いるのかいないのか。
その二択を僕に提示したのは君なのに」

「うん。まっさらその通り」

「まっさらの使い方がおかしいよ」


そう言って、呆れるでもなく、馬鹿にするでもなく彼は笑う。
校閲みたいでもある。
私が直した覚えはあまりないけど。


「でも君は釈然としない顔だよ」

「む……なぜだろう」

「それはきっと君がその質問に対して感じる疑問が少し違うからじゃないかな?」

「そう、なんだろうか」


そうかもしれないのだが、それじゃあ何が知りたいのかと聞かれても困る。
漠然としているからだ。


そんな短いやり取りで考えるのに疲れてしまった私は、座った態勢のまま上体を倒して彼のベッドの端に頭を乗せた。
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